旅行者需要を取り込むヒントは「体験」にあり 「食」×「体験」で付加価値を生み出す商品開発を
旅行者需要を取り込むヒントは「体験」にあり
~「食」×「体験」で付加価値を生み出す商品・サービス開発を~
食欲の秋、芸術の秋、紅葉の秋…厳しい暑さが和らぎ行楽シーズンがいよいよ到来。
新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後、観光庁が行ってきた全国旅行支援の後押しもあり、移行後初の夏休みをアクティブに過ごした方も多かったはず。
観光庁長官が8月に行った記者会見では、年内にもひと月当たりの訪日旅行者数がコロナ前の水準に回復するという見通しを示しました。
日本で暮らす私たちの国内旅行が活発になるとともに、訪日外国人観光客数も急速に回復しつつあります。皆さんもご存じの通り、飲食・宿泊・レジャーをはじめ多くの業種でインバウンドによる経済効果が期待できます。
今回はインバウンド需要の見通しについてお伝えしたいと思います。
※観光庁統計を元に、marubishi ideat Onlineにて作成
訪日外国人はどれくらい増えている?(対2019年前比較)
日本政府観光局が発表した統計によると、7月に日本を訪れた外国人旅行者は232万人余りと推計され、新型コロナの感染拡大前の2019年との比較で77%の水準まで回復。
8月には85.6%の215万人となり、回復率では7月を上回る数値となりました。グラフを見ても分かる通り、訪日外国人観光客数が急激に伸びています。
政府による水際規制緩和や、日本各地への国際定期便の運航便数の回復(増便・復便)が続いていることも要因となりました。
また、令和5年3月31日閣議決定された新たな観光立国推進基本計画の3つの目標「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」に則した施策やプロモーションが今後期待できます。
※観光庁統計を元に、marubishi ideat Onlineにて作成
旅行のニーズは、「モノ」から「コト」へ。「体験」を重視
訪日外国人旅行消費額の費目別構成比をみると、宿泊費が35.0%と最も多く、次いで買物代 (25.2%)、飲食費(24.0%)の順で多く、2019年同期と比べると、宿泊費の構成比が増加し、買物代の構成比が減少しました。あまりにも長く続いたコロナ禍を経て、モノ消費からコト消費へとニーズが変化し、旅行においても「どこに行くか」 より「何をするか」が重視される傾向が高まったように感じます。そういった価値観をくすぐるような商品展開やプロモーション活動がカギになるかもしれません。
また、インバウンドの恩恵を最大限享受するためには、訪れる外国人観光客の味覚や食文化の違いを知ったうえで、自社の商品に「ならではの付加価値」をどのようにアピールしていくかが求められます。日本では当たり前の食材が彼らには初めて見るものかもしれません。
それが、求められる「体験」の満足度を満たし、InstagramやTikTokといった顧客の口コミプラットフォームSNS投稿の動機となります。
”パリのカフェで、朝食にクロワッサンとコーヒーをいただく”
”イタリアの映画のロケ地でイタリアンジェラートを食べる”
そういった夢を抱いたり、忘れられない食事とその風景はありませんか?
”日本で高級鮨を食べる”ことだけが、外国人が求め、欲を満たす「食」体験ではありません。
自社商品に「体験」というキーワードを載せ、付加価値を生み出し、インバウンド需要を取り込む戦略。今が始めるタイミングです!